日本SF作家クラブの会長を務められたご経験もある、池澤春菜さんの小説デビュー作。
エッセイや書評を読んだことはあるのですが、ついに自ら物語を生み出す側になられたとは。
いや、いつか書かれるという予感めいたものは昔から感じていたかも知れません。
なぜなら、Mac Fanに連載されていた『池澤春菜の天声姫語』を読んでいたから。
そういえば、Mac Fanもついに定期刊行が終了しました。
隔月刊になりながらも30年以上続いていたんですね。最後の表紙は当然、THE ALFEEの高見沢さん。
読んでいた雑誌がなくなることが増えて悲しい...いや、話が逸れました。
本作は短編集なのですが、それぞれの短編が持つ雰囲気も、オーソドックスな「SF」あり、ドタバタコメディーありと、短編ならではのフットワークの軽さでさまざまな顔を見せてくれました。
これまでの池澤さんご自身の読書体験で獲得したものが、作品の中に現れていたように感じます。
脳にキノコの菌を埋め込むことが普通になった世界でのガールミーツガール「糸は赤い、糸は白い」
ダイエットが上手く行かないことがきっかけで起こる宇宙規模の大騒動「あるいは脂肪でいっぱいの宇宙」「宇宙の中心でI(アイ)を叫んだワタシ」
宇宙コロニーで亡くなった叔母の弔いのために旅をする表題作「わたしは孤独な星のように」
他、全7編。
伝え聞くだけでも、たくさんの本を読まれてきた方だと思うので、ご自身が物語を生み出すことにちょっぴり思うところはあったかも知れませんが、どれも、SFへの愛と物語の力を信じ続けてきた(と思う)池澤さんの「今」が伝わる短編集でした。



