2024年が始まりますね。仕事が納まった方も、多少来年に持ち越した方も、年末年始くらいはのんびり本を読みましょう。
そんなわけで『年末年始におすすめしたい本3選』いってみます。

火星三部作(神林長平/ハヤカワ文庫SF)

3選と言いながら早くもルールを破ってきた感のある連作長編。しかし今勧めておきたいのには理由があるので、しばしお付き合いいただきたい。

2023年はChatGPTの登場で生成AIが非常に注目されました。
新しい技術は常にそうであったように、今後は似たようなサービスが多数展開され、得られる恩恵も発生する問題も多いと予想。
人類が上手く技術を使いこなせるかが発展のポイントになるとは思いますが...何はともあれ、ロボット開発なども進み、お伽話のようだったSFの世界がいよいよ現実になってきましたね。
(レールガンの話は本当に未来が来たな...と思いました)

SF的な話題には事欠かなかった2023年ですが、機械(AI)とヒトとの関わりと言えば神林作品。
『雪風』シリーズなど、他の作品にも言えると思いますが、読むと機械を通してヒトを識ることができる気がします。
個人的には、筒井康隆、小松左京、星新一などが作り上げた日本SFを大きく発展させた作家の一人だと思います。

『火星三部作』と言われているのは、以下の3作品。

あなたの魂に安らぎあれ
帝王の殻
膚の下(上・下)

3選と言いながら連作長編の上に最後は上下巻。本当に申し訳ない。長編連作なので、読み切るのは大変かも知れないですが一気読み推奨。

この作品、刊行順と作品内の時系列が逆になっているため、過去に遡っていくことになるのですが、最後の『膚の下』を読み切った時、自分は感情がぐちゃぐちゃになり過ぎて本当に大変でした。
過去を知ることで伏線が回収され、謎が解かれ、物語が繋がっていく。何故このようなことになってしまったのか、何故機械は、人間は...もう、これ以上は言葉にならない。

あなたの魂に安らぎあれ 帝王の殻 膚の下(上) 膚の下(下)

そんな訳で、この作品は刊行順で読むことを強くお勧めします。

そして、これからこの作品を読む諸賢らは、一気読みできる幸せを噛み締めて欲しいです。本当に。
というのも、『あなたの魂に安らぎあれ』の初版発行が1983年、『帝王の殻』が1990年、『膚の下』が2004年と、完結まで約21年。リアルタイムで刊行を待つことになった読者の苦しみは察するに余りありすぎます。

十角館の殺人(綾辻行人/講談社文庫)

言わずと知れたミステリの大傑作。
既にミステリの古典となる作品なので、詳細は割愛するが、最後の一行で持ってかれるどんでん返し系の代名詞、みたいな所もあり、あまりにも有名。有名過ぎて、読んだつもりになっている方も多いのでは?(自分も、長い間そうだった)
どんでん返しが待っていると分かっていても、おそらく驚けるので安心して読んで欲しいです。
この機会に過去の名作に触れるのも良いのではないかと。

映像化不可能と言われていましたが、映画化して、2024年からHuluで独占配信されるそうです。楽しみですね!

十角館の殺人(新装改訂版)

ビブリア古書堂の事件手帖 〜栞子さんと奇妙な客人たち〜(三上延/メディアワークス文庫)

実写映画、ドラマ化もされた人気作。すでに続刊がかなり出ていますが、さくりと読めるのでお勧め。
この作品のようなスタイルのミステリは『ビブリア古書堂シリーズ』の登場で一気に流行が加速した気がします。

古書店主である主人公が客の話を聞いて事件やトラブルを解決する、というような流れで進む事が多く、作中に実在する本が出てくるので、書痴諸君には嬉しいのでは?

宮沢賢治の『春と修羅』の初版など、手を伸ばしにくい稀覯本も出てきますが、今でも手に入る作品もあるので『ビブリア古書堂』を読んで、次に読みたい本が出てくるかも。
一時期、作品内で取り上げられた本が品薄になり歯噛みしたこともありますが、この作品の影響で復刊されたと思われる本もあり、作品外でも盛り上がりを作ってくれました。

ビブリア古書堂の事件手帖 〜栞子さんと奇妙な客人たち〜